1990年代のビョーク

90年代のアルバムは、「Debut」(デビュー)、「Post」(ポスト)、「Homogenic」(ホモジェニック)の3枚です。比較的ポップな路線でスタートしましたが、3作目でよりアートな方向になりました。

1993年

ビョークのアルバム「Debut」(デビュー)
(デビュー)
直球のタイトルが示すとおり、ビョークはこのアルバムでソロデビューしました。全世界で大ヒットし、評価も高く、ビョークの個性的なボーカルと音楽を世に知らしめた作品です。ジャケット写真は、シンプルで清楚な感じなので、親しみやすい印象です。アルバムの内容は、全体的にライトでポップ、ダンサブルなので、聴きやすい感じだと思います。違う言い方をすると、強烈な曲が無いので、その辺を求める人には少し物足りないかもしれません。第1作目なので、これぐらいの方が導入として効果的でしょう。厳密に言うと、子供の頃にアルバム(「関連作品」のページ参照)を出してますが、一般的にはカウントせず、今作をファーストとして扱います。
ビョークの「Human Behaviour」のMV
Play Dead (プレイ・デッド)
このアルバムで一番オススメの曲は、「Play Dead」です。初版には含まれておらず、次版で追加された曲なので、このアルバムを買う時は、必ず「Play Dead」が含まれているものにしましょう。映画「プレイデッド」(The Young Americans)のサントラとして作られた曲で、他の曲と比べると少し毛色が違います。力強い感じが良いです。ちなみに、日本版では更に「Atlantic」という曲が追加されています。これに限らず、他のアルバムでも日本版はボーナス・トラックが付くことが多いです。
Venus as a Boy (ビーナス・アズ・ア・ボーイ)
「Play Dead」とは反対に、「Venus as a Boy」は心地良い軽快さです。このアルバムにピッタリな曲なので、これもオススメします。MVは、お料理番組みたいに目玉焼きを作っていて、可愛い感じです。ちなみに、この曲は、リュック・ベッソン監督(Luc Besson)の映画「レオン」(Leon)の中で使用されました。
Human Behaviour (ヒューマン・ビヘイビアー)
アルバムの冒頭を飾る「Human Behaviour」は、ビョークの記念すべきファースト・シングルです。独特でユニークな曲調になっています。MVは、動く絵本みたいでユーモラスな感じです。やたらアグレッシブに動く蛾が、個人的にツボ。MV関連で言うと、ニューヨークを走行しながらビョークが踊る「Big Time Sensuality」は、MTVでヘビロテされて人気を博しました。
ビョークの「Venus as a Boy」のMV
1Human BehaviourSMV
2Crying--
3Venus as a BoySMV
4There's More to Life Than This--
5Like Someone in Love--
6Big Time SensualitySMV
7One Day--
8Aeroplane--
9Come to Me--
10Violently HappySMV
11The Anchor Song--
12Play DeadSMV

1995年

ビョークのアルバム「Post」(ポスト)
(ポスト)
鮮烈なデビューとなった「Debut」に続く、第2作目のアルバムです。タイトルのポストの意味は2つあるそうで、1つは、ソロ活動のためにアイスランドからイギリスに移った後に作ったということで、「〜後」(after)を表す接頭辞のpost-です。もう1つは、アイスランドにいる家族や友達に手紙を出す意味を込めて、「郵便ポスト」だそうです。今作は、色々なジャンルに手を出していて、多彩でバラエティ豊かな印象になっています。ジャケット写真も、セピア調で素朴だった前作と比べて、様々な色があってカラフルです。着ている衣装は、アルバム名にふさわしく、エアメールの封筒と同じ柄です。前作に続き、一般受けしやすい内容だと思います。
ビョークの「Possibly Maybe」のMV
Hyperballad (ハイパーバラッド)
このアルバムで一番オススメの曲は、「Hyperballad」です。スタイリッシュ&ポップな曲調で、後半になるとテンションが上がり、疾走感が出てくる展開が良いです。90年代のビョークのMVは、ミシェル・ゴンドリー監督(Michel Gondry)が多く手がけていますが、この曲も、デジタル映像を重ねたユニークな作りです。
Army of Me (アーミー・オブ・ミー)
アルバムの先陣を切る「Army of Me」は、戦車が前進するようなヘビーな曲調がかっこいいです。MVは、シュールな内容で、前半では歯のトラックやゴリラの歯医者が出てきます。ビョークの衣装がなぜか空手着っぽいです。後半の美術館爆破のくだりも意味不明。ちなみに、この曲は、ザック・スナイダー監督(Zack Snyder)の映画「エンジェルウォーズ」(Sucker Punch)の中で使用されました。
It's Oh So Quiet (イッツ・オウ・ソー・クワイエット)
「It's Oh So Quiet」は、曲中で炸裂するビョークのシャウトが面白いです。MVは、スパイク・ジョーンズ監督(Spike Jonze)が製作しています。陽気でファニーなミュージカルです。ヒットした人気曲ですが、過去のジャズ曲のカバーでオリジナルではないため、ベスト盤「Greatest Hits」には収録されませんでした。
ビョークの「Hyperballad」のMV
1Army of MeSMV
2HyperballadSMV
3The Modern Things--
4It's Oh So QuietSMV
5Enjoy--
6You've Been Flirting Again--
7IsobelSMV
8Possibly MaybeSMV
9I Miss YouSMV
10Cover Me--
11Headphones--

1997年

ビョークのアルバム「Homogenic」(ホモジェニック)
(ホモジェニック)
第3作目は、ビョークの故郷・源流であり、新しいものと古いものが共存するアイスランドがイメージにあるそうです。電子音と弦楽器を組み合わせて、力強さと繊細さを兼ね備えたアルバムになりました。アートの領域に入り、更に完成度が高まっています。タイトルは、「同種の」という意味の形容詞です。前作は多種多様でしたが、今作は全曲が同じ源(方針)から生まれたことを表しています。ジャケット写真は、首が長い中国皇太后という感じのビジュアルで、目が怖いです。3作目にして、こういうブッ飛んだデザインにできるのは、さすがビョークとしか言いようがありません。武器ではなくて愛で闘う戦士をイメージしたそうです。
ビョークの「Unravel」のMV
Jóga (ヨーガ)
このアルバムで一番オススメの曲は、「Jóga」です。壮大な感じが出ていて、ビョークの声の伸びと弦楽器の融合が美しいです。ざらついた電子音も、効果的なアクセントになっています。MVは、アイスランドの雄大な自然の空撮映像です。ちなみに、ヨーガとは、ビョークの親友の女性の名前だそうです。
All Is Full of Love (オール・イズ・フル・オブ・ラブ)
「All Is Full of Love」は、クリス・カニンガム監督(Chris Cunningham)がMVを製作しました。ロボットの愛を描いた内容で、ビョークのMV史上、最も有名な作品です。不気味さと美しさを兼ね備えていて、素晴らしいです。注意点としては、アルバムに収録されているのはアレンジ版なので、MVと同じオリジナル版を聴きたい場合は、シングルか、ベスト盤「Greatest Hits」にしましょう。ちなみに、クリス監督作品では、マドンナ(Madonna)の「Frozen」のMVもオススメです。
Unravel (アンラベル)
「Unravel」は、ゆったりとして静謐さがある曲です。ビョークは一人二役みたいに歌う構成を好んで用いますが、この曲でもそれが活かされています。うずくまったビョークの背中から糸が溢れるMVも印象的です。MV関連で言うと、つるっ禿のビョークがシロクマに変身する「Hunter」も面白いです。
ビョークの「All Is Full of Love」のMV
1HunterSMV
2JógaSMV
3Unravel-MV
4BacheloretteSMV
5All Neon Like--
65 Years--
7Immature--
8Alarm CallSMV
9Pluto-MV
10All Is Full of LoveSMV
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